児童生徒の問題行動の背景には長時間労働も関係している
先日、都立町田高校の生徒が教師から注意を受け、その腹いせに教師に暴言を吐き、教師が口論の後に体罰を与えるといった問題が起きました。しかも、その一連の内容がSNSにアップされました。
体罰は良くありませんが、それまでに至った背景も検証しなければ、必ずしも教師がとった行動が間違いだったとは言えないのではないかと思います。
いつの時代でも、子どもが大人や世の中に反抗することはあります。暴力行為、いじめ、不登校などにはいろんな背景がありますが、私は家庭環境による影響が大きいと思います。
その影響の1つとして、「長時間労働」が挙げられます。
総務省の労働力調査によれば、働き盛りの20歳代後半から40歳代前半の労働者の約20%は、週に60時間以上働いているという統計もあります。朝8時出勤で毎日21時まで働いているという人はそれなりにいると思います。これでは、家族との時間を大事にしようとしても、できないのが現実なのではないでしょうか。
では、労働時間を短くすれば良いのではないでしょうか。一部では、労働時間を短くすると労働力が低下し日本経済がダメになる、もっと働かなければ豊かにならないといった考えもあります。しかし、そんな迷信に騙されてはいけません。
日本より労働時間が短い国の1人あたりのGDPを見てみると。
年間平均労働時間は(2017年度調査)
年間平均労働時間 1人あたりのGDP
① ドイツ 1356時間 19位
② デンマーク 1408時間 10位
③ ノルウェー 1419時間 4位
④ オランダ 1433時間 13位
⑤ フランス 1514時間 23位
⑥ ルクセンブルク 1518時間 1位
⑦ ベルギー 1546時間 20位
⑧ スイス 1570時間 2位
⑨ スウェーデン 1609時間 12位
⑩ オーストリア 1613時間 15位
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⑰ 日本 1710時間 25位
(2017年の日本の労働日は248日。1710時間を248日で割ると1日の平均労働時間は6.9時間になります。この中には、契約社員・派遣社員・アルバイトも含まれているために、このような数値になります。)
ドイツは、世界一労働時間が短い国でありながら、日本より高いパフォーマンスを実現しています。また、世界で労働時間が短い国10国は、日本より1人あたりGDPも労働生産性も高いこともわかります。
働き方改革法案が2018年6月29日に可決され、各企業でも対策を練られています。今回の働き方改革法案の全てを賛成するわけではありませんが、これを機に自由な時間が増え、増えた自由時間を家族と過ごす時間に使う方が増えて欲しいです。
良い事例を見て学び、長時間労働を是正することで自由な時間ができます。自由な時間は、人々の心に余裕を与え、余裕は幸せを増やします。
そんな世の中の実現のために、政治も経済も対応していくべきであると考えます。
以下、調査結果の概要です。
■平成29年度富山県内の児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要(平成30年11月21日発表)
1.暴力行為(カッコ内は昨年件数)
小学校 147件(61件)
中学校 185件(117件)
高等学校 21件(28件)
・暴力行為の発生件数は、H28年度と比べ、小学校・中学校で大幅に増加したが、高等学校では減少した。1,000人当たりの発生件数は、全ての校種で全国平均を下回っている。
2.いじめ(カッコ内は昨年件数)
小学校 459件(482件)
中学校 363件(387件)
高等学校 76件( 94件)
特別支援学校 6件( 9件)
・いじめの認知件数は、H28年度と比べ、小学校・中学校・高等学校で減少した。1,000人当たりの認知件数は、全ての校種で全国平均を下回っている。
3.不登校(年間30日以上「不登校」という理由で長期欠席した人数)
※前回調査までは、病気、不登校、経済的理由のうち、理由が2つ以上にまたがる場合は、「その他」に分類していたが、不登校への支援等に繋げるため、理由が2つ以上にまたがる場合は主たる理由を計上することに変更。
小学校 276件(194件)
中学校 631件(608件)
高等学校 317件(298件)
・不登校児童生徒数は、H28年度と比べ、小学校で大幅に増加し、中学校・高等学校でやや増加した。1,000人当たりの人数は、全ての校種で全国平均を下回っている。
4.中途退学
県立高等学校中途退学者の推移
181人(159人)
・中途退学率は、H28年度と比べ増加したが、全国平均は下回っている。